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研究概要

 高分子系で起こる励起エネルギー移動・光電子移動などの諸過程を、モデル化合物を合成することにより明らかにしています。
 具体的な一例を挙げますと、ポリビニルカルバゾールの光電導機構の解明を最近開始しました。光電導と言うと難しく聞こえますが、これは光照射によって生じる電導性のことを意味し、実用面ではコピー機の感光体の性能を決めるなどの重要な役割を果たしています。ポリビニルカルバゾールの光電導性を分子論的立場から考えますと、隣接するカルバゾール環同士の相互作用(特に励起状態)が重要な役割を果たしていると予想されています。
 当研究室では、いくつかのカルバゾール環の重なり方が明確なモデル化合物を合成し、その物理化学的性質を様々な角度から調べることにより、カルバゾールの光電導機構の本質(励起二量体の構造)を明らかにしたいと思っています。

 光学活性化合物は、医薬品・香料・生分解性ポリマー・次世代液晶など、現代社会を支える材料として多数用いられています。特に、世界で新しく販売された合成医薬品のうちキラル構造を持つ医薬品は、近年約20年間では半分以上を占めており、さらにその割合は年々高まっています。
 しかし光学活性化合物のそれぞれの鏡像異性体は、メントール・サリドマイドのように異なる作用をするものが多いため、純粋な鏡像異性体を得ることが強く求められています。しかし純粋な鏡像異性体を得ることは大変難しく、現在この方法の開発が急務となっています。

 以上のような背景から、当研究室では、人工酵素とも言える不斉有機触媒を開発し、それを用いて、医薬品をはじめとする光学活性化合物の合成を行っています。