コムギ巨大ゲノム断片のイネへの導入 我々はコムギ穀粒硬軟質性に関わるHardness遺伝子座領域を含むBACクローンをアグロバクテリウム法でイネへ導入した。導入遺伝子座の構造をFiber-FISH法で可視化した（Nakano et al. 2005）。Fiber-FISH法を用いた研究は、関西福祉科学大学の山本真紀教授の協力のもと行われたものである。そのほか、ホモに固定した植物体において導入遺伝子（Pina, GSP-1）の胚乳での発現をmRNAレベル、タンパク質レベルで確認し、澱粉粒構造への影響を走査型電子顕微鏡観察により調査した。

また、大阪大学福井希一研究室との共同研究により、バイオアクティブビーズ法によりコムギHardness遺伝子座を導入することも試みており（Wada et al. 2009）、導入遺伝子（Pinb）のイネ胚乳への影響も調べている（Wada et al. 2010）。

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図：形質転換イネにおける導入遺伝子座（コムギHardness遺伝子座領域）のFiber-FISH像

関連発表

向井康比己・鈴木剛・中野亜紀子・山本真紀 (2002) ゲノム融合によるイネの分子育種 I. コムギ巨大ゲノムのイネへの導入.
第28回 コムギ遺伝学シンポジウム. 帯広. 2002-8-24.

中野亜紀子・鈴木剛・山本真紀・向井康比己 (2003) ゲノム融合によるイネの分子育種 III.　コムギHa遺伝子座領域のイネへの導入.
日本育種学会第104回講演会. 神戸. 2003-9-19.

鈴木剛・中野亜紀子・山本真紀・向井康比己 (2004) ゲノム融合によるイネの分子育種IV. イネに導入した巨大DNA断片の再配列.
日本遺伝学会第76回大会. 大阪. 2004-9-27.

Suzuki, G., Nakano, A., Yamamoto, M. and Mukai, Y. (2005) Visualization and characterization of large-insert T-DNAs in transgenic rice.
XVII International Botanical Congress, Vienna, Austria, 2005-7-17...23.

Wada, N., Ito, K., Nose, N., Akiyamaka, Y., Kawakami, S., Matsunaga, S., Otani, M., Suzuki, G., Mukai, Y., Shimada, T., and Fukui, K. (2006) Transformation of Rice Plants Using Bio-Active Beads with BACs.
Plant & Animal Genome XIV Conference, San Diego, USA, 2006-1-14...18.

和田直樹・ 秋山征夫・大谷基泰・鈴木剛・向井康比己・島田多喜子・福井希一 (2006) バイオアクティブビーズ法によるコムギ有用遺伝子群を含む巨大DNAのイネへの導入.
日本育種学会第110回講演会. 愛媛. 2006-9-22.

後藤公美・和田英雄・中野亜紀子・鈴木剛・向井康比己 (2006) イネに導入したコムギHardness遺伝子群の発現.
日本遺伝学会第78回大会. つくば. 2006-9-26.　

鈴木剛・和田英雄・後藤公美・中野亜紀子・山本真紀・Sadequr Rahman・向井康比己 (2007) コムギHardness遺伝子座を導入した形質転換イネの解析.
第48回日本植物生理学会年会. 松山. 2007-3-28...30.

鈴木剛・後藤公美・和田英雄・中野亜紀子・山本真紀・向井康比己 (2007) コムギ巨大DNA断片を導入した形質転換イネの解析.
第58回染色体学会・第17回染色体コロキウム2007年合同年会, 葉山, 2007-11-27.

和田直樹・梶山慎一朗・秋山征夫・大谷基泰・島田多喜子・鈴木剛・向井康比己・福井希一 (2008) バイオアクティブビーズ法によるハードネス遺伝子群導入イネの作出.　
第114回日本育種学会講演会, 彦根, 2008-10-11...12.

鈴木剛・和田幸雄・和田英雄・後藤公美・中野亜紀子・和田直樹・梶山慎一朗・福井希一・向井康比己 (2009) コムギ硬軟質に関わるfriabilin関連遺伝子群のイネへの導入と蓄積.
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論文掲載

Nakano, A., Suzuki, G., Yamamoto, M., Turnbull, K., Rahman, S. and Mukai, Y. (2005) Rearrangements of large-insert T-DNAs in transgenic rice.
Mol. Genet. Genomics 273: 123-129.

Wada, N., Kajiyama, S., Akiyama, Y., Kawakami, S., No, D., Uchiyama, S., Otani, M., Shimada, T., Nose, N., Suzuki, G., Mukai, Y., and Fukui, K. (2009) Bioactive beads-mediated transformation of rice with large DNA fragments containing Aegilops tauschii genes.
Plant Cell Rep. 28: 759-768.

Wada, N., Kajiyama, S., Cartagena, J.A., Lin, L., Akiyama, Y., Otani, M., Suzuki, G., Mukai, Y., Aoki, N., and Fukui, K. (2010) The effects of puroindoline b on the ultrastructure of endosperm cells and physicochemical properties of transgenic rice plant.
J. Cereal Sci. 51: 182-188.