Blazer 「3C66A」 観測結果

Blazer(ブレーザー)は、銀河の中心領域が極端に明るく輝いて観測される活動銀河核と呼ばれるものの一種です。
Blazerはその中でも、短時間(一日以下)の時間変動が激しく、非常に活発な活動銀河核で様々な波長域で観測されています。このような明るい光は、銀河中心領域にあると思われる超巨大ブラックホールから光速に近い速度で放出されているジェットによるものだと考えられています。

Blazerから放出される電磁波には二種類あると考えられています。一つは、電波から紫外線までに至る比較的エネルギーの低い電磁波で主に「シンクロトロン放射」によるもの、もう一つは、X線からγ線にいたる非常にエネルギーの大きな電磁波です。
後者は、相対論的な速度で飛び回っている電子がエネルギーの低い光子に衝突して、エネルギーの高い光子となる「逆コンプトン効果」によるものだと考えられています。

今回の観測は、Blazer「3C66A」をガンマ線から電波領域までの広い範囲で長時間連続的に観測し、いろいろな電磁波の時間変化の様子を調べることによってブレーザーの心臓部の謎を解明しようというものです。

一週間以上にわたって切れ間なく連続的な観測を行うためには、地球上の様々な場所にある天文台がリレー式に観測を行って結果をつなぎ合わせることが必要です。このような観測方式を全地球望遠鏡(The Whole Earth Telescope)と呼びます。

大阪教育大学は東アジア地域に位置しており、欧米で観測できない時間帯に観測を行うことが出来るという意味で貴重な観測点となっています。今回の観測にもアジア、ヨーロッパ、アメリカなどにある多くの天文台が参加しました。

大阪教育大学では、「Multiwavelength Observing Campaignon 3C 66A September 2003 - January 2004」の一環として2003年10月から11月にかけて、Blazer「3C66A」の観測をRバンド(赤波長域)で行いました。その結果が、世界中の各観測点の結果とあわせて、
http://www.phy.ohiou.edu/~mboett/3C66A/results.html
で公開されています。この結果は人工衛星を使ったガンマ線やX線の結果、また電波観測の結果と合わせて論文として発表される予定です。

以下に、今回公開されているデータの一部を紹介します。「Osaka」というオレンジ色の印が大阪教育大学で観測されたものです。
また、前後の観測点はそれぞれ「レモン山天文台(アメリカ アリゾナ州)」「上海天文台(中国)」です。



3C66A付近の画像(丸で囲まれた星は使用した比較星)
POSSI.E.DSS1.196 Provided by CDS Aladin image server
図Aは2003年7月から2004年4月までの全データをまとめたものです。図の上の色は各々の天文台を表し、大阪教育大学のデ ータは黄色で表されています。この期間に3C66Aは1等以上明るくなり、しかも激しく変動していることが分かります。
図Bは2003年10月30日のデータを拡大したもので、約24時間の様子をあらわしています。この間にも約0.15等の変動を示したことが分かります。 左側の紫色の点データはレモン山天文台(アメリカ、アリゾナ州)、右側のデータは上海天文台(中国)で撮られたものです。