北極圏スバルバールの観測記録

  1998年2月9日から3月12日まで
    北極圏スバルバール諸島Ny-Alesundで行った観測の記録です

Ny-Alesundの"A"はノルウェー語表記ではAの上に小さな丸が付く文字です。


更新履歴
1998年2月12日新規開設
1998年2月15日更新(写真集3〜5を増やしました)
1998年2月20日更新(写真集6〜9を増やしました。人口の内訳を表にしました)
1998年2月25日更新(写真集10を増やしました。)
1998年3月03日更新(写真集11〜13を増やしました。)
1998年3月12日更新 これがおそらく最後の更新です。
1998年3月17日更新 帰国後に最終更新。
 
場所:北緯79度 東経12度 スバルバール諸島 スッピツベルゲン島 北西部
   ノルウェーのはるか北の島です。 地図のリンク

人口:冬季は50人程度で、永住者はいません(最大5年)。
   ノルウェー、スウェーデン、ドイツ、イギリス、アメリカ、日本などの
   極地の自然科学研究に携わる人のためにノルウェーが運営している村です。
 
日付不明AWINIPRNPSKKBKCBPVisitor
2/122745名12 15 45名
2/162840名10 16 40名
2/192331名 16 31名
2/261527名 10 27名
3/021834名 13 34名
3/051733名 12 33名
  諾:ノルウェー、瑞:スウェーデン
  AWI: Alfred Wegener Institute for Polar and Marine Research (Germany)
  NIPR: National Institute of Polar Research (Japan)
  NP : Norwegian Polar Institute
  SK : Statens Kartverk (ノルウェーの地図局)
  KBKC: Kings Bay Kull Company (村の運営会社)
  BP : Bedlifter Prosject(貿易会社?)
  Visitor : 旅行者

建物:大小合わせて50戸程度あります。町の遠景(写真1)(写真2)
   日本の極地研究所がその中の一つRabbenという小屋を借りています。
   各国の観測小屋以外に、
   食堂(写真1)(写真2)(写真3)
   BAR(食堂の奥、土曜21時から01時頃)(写真1)(写真2)(写真3)(写真4)(写真5)
   郵便局(世界最北、水曜金曜の14時から15時)、(写真1)(写真2)(写真3)
   日用品及び酒類のお店(月水木の15時30分から16時30分)、(写真1)(写真2)(写真3)(写真4)
   コインランドリーなどがあります。

交通:村内の移動は主として車ですが、道でないところはスノーモービルです。
   入村や出村の手段は週2回の飛行機(10数名搭乗可)だけです。
   島中央の最大の町ロングイヤービーンから約30分です。
   写真はロングイヤービーンの格納庫の飛行機です。
   Ny-Alesundに着くと入村者を降ろし、出村者を乗せすぐ離陸します。
   Ny-Alesundの飛行場(写真1) (写真2)    荷物の積み下ろし

Rabbenの住人
   3月03日現在8名。 名古屋大学太陽地球環境研究所、福岡大学、東北大学、
             国立極地研究所、大阪教育大学の寄り合い所帯。
             成層圏の活動のライダーによる観測、
             大気中のエアロゾルなどの化学成分の測定、
             オゾンやメタンなどの大気微量成分の観測、
             雲と降水の観測 を行っています。
私の仕事:極域の降水の実態及び降水機構の研究
 使用している観測器:
   ・降水の鉛直分布を観測する垂直レーダー 
     (写真の左側がレーダーです。右は名古屋大学のライダー用のシェルターです。)
     (このレーダーは9年前南極昭和基地で越冬中に使用したもので6年前に
      こちらに持って来ました。6年ぶりに再会しました。2月12日)
   ・上空の水蒸気量と雲水量を観測するマイクロ波放射計
      (写真の左にある三脚上にセットされたものです。2月15日)
   ・地上付近の降水粒子の量と落下速度を観測するドップラー方式の降雪粒子観測器

写真集
1.私が来る3日前に射殺された北極熊
  射殺されたのは日本の小屋から200mほど離れたところで、この写真は
  その後、そりに引かれて来たところをドイツの研究者が撮影したものです。
2.2月11日正午の南の空
  まだまだ太陽が出そうにない空です。計算によると2月23日が初日の出ですが
  南に山があるので3月にならないと見えないそうです。
3. 2月13日正午の南の空
4. 2月15日正午の南の空   北の空
5. エスキモー犬の訪問(2月15日14時)(写真1)(写真2)(写真3)
6. 2月16日正午の南の空   北の空
7.前日からの吹雪の後にトナカイが現れた!(2月17日13時)(写真1)(写真2)
8. 2月17日正午の南の空、雲の中にいるような状態でよく見えない。
9. 2月19日正午の北の空 写真の右上の山に陽があたり始めた。久しぶりに見るひなた。拡大図はこれ
10. 2月25日正午の南の空 ずいぶん明るくなった。
  北の空 北の対岸は海岸線まで陽が当たるようになった。
11. 2月27日正午の南の空
12. 3月02日正午の南の空、初日の出の後の初日没後。
13. 3月03日正午過ぎの南の空、ついに日の出、久しぶりに見る
14. 3月8日、エアロゾルゾンデ観測風景。(写真1)(写真2)
15. 3月12日、Rabbenの住人、8名全員帰国のため出発。メンバー(写真1)(写真2)
16. Ny-Alesund - Longyearbyen間の機内から見た氷河(写真1)(写真2)
17. おまけ。帰国途中オスロのホルメンコーレンで行われたノルディック複合のW杯観戦。荻原健司のジャンプ(写真1)(写真2)

関連するリンク
1.名古屋大学大学院生、足立さんのRabbenの紹介ホームページです。
(今はありませんのでリンクできません)
2.Ny-Alesundのドイツの研究者による写真集です。(今はありませんのでリンクできません)
  上記の熊の写真は、このページから無断で獲り、載せました。
3.スバルバールの紹介ホームページです。
4.ロングイヤービーンの今日の気温と風速のページです。(今はリンクできません)

日誌  (気温,風速はおよそ正午の値)
日付天気気温(℃)風速(m/s)備考
2/09地吹雪-1213小西入村・Rabbenの住人4->5
2/10曇り-911POSS設置
2/11曇り-9マイクロ波放射計再設定
2/12曇り-7名古屋大学・柴田さん出村・Rabbenの住人5->4
HP立ち上げ
2/13晴れ-10Rabbenの南の山に熊が出たと連絡が入り、朝から外出注意令
Rabbenで風邪が流行。2名が感染。
2/14曇り-813日16時頃から14日8時頃まで弱い降雪を伴う地吹雪。
吉村昭著「羆嵐」を読む。熊の怖さの臨場感有り。
2/15晴れ-8雲も少なく風もない穏やかな日曜日
2/16晴れ-14雲も少なく風もない穏やかな月曜日
2/17-11昨夜23時頃から、吹雪。深夜に風が弱くなり、11時まで降雪。
2/18曇り-13層状の雲が覆い、風は強い
2/19晴れ-23しんしんとよく冷える
2/20晴れ-26冷える
2/21晴れ-27今日も冷える
2/22晴れ-26またも冷える
2/23地吹雪-201110時頃から17時頃まで南西の風による地吹雪。降雪含む。飛行機定期便欠航
2/24晴れ-25冷える。極地研・和田さん、東北大院生・佐々木さん、入村。Rabbenの住人4->6
2/25晴れ-26今日も冷える。
2/26晴れ-19冷えこみ少し和らぐがまだ寒い。福岡大・白石さん入村。Rabbenの住人6->7
2/27晴れ-27昨夜から風が強まり、夜中から明け方まで地吹雪。風が強く寒い
2/28晴れ-3010依然、風強く、冷えこみ厳しい。車のエンジンかからず、一騒動。
3/01晴れ-26気温は、あまり変わらないが風が弱くなり、過ごしやすい天気。昼食後、熊に注意しながら食堂からRabbenまで2kmのランニング。
3/02晴れ-24風弱く、過ごしやすい。ついに「初日の出」があったらしい。部屋の中にいて見逃す。名古屋大・柴田さん入村。Rabbenの住人7->8
3/03晴れ-25「日の出」をついに確認。影ができるのが嬉しい。数分だが、部屋の中にも日が差し込む。気温は低いが、春が来た。
3/04曇り-23久しぶりに曇り、降雪が期待されたが、雲だけで降雪なし。
3/05晴れ-21「日の出」12時20分、「日の入り」14時、今日も快晴。
3/06晴れ-21明るくなり、外作業は精神的に楽になる。単管パイプとネットで風除け作成。
3/07晴れ-20朝から水道管凍結のトラブル。約2時間Rabben断水。昼食後、ライフル持参でRabbenの周辺一時間散歩。寒かった。
3/08晴れ-20昨夜20時頃から今日の午前中まで、久しぶりの降雪。日本から来た航空機の微量気体、エアロゾル、雲粒子の観測が始まる。エアロゾルゾンデ観測実施。自転車でRabbenと食堂間往復。
3/09-13昨夜20時頃から、今日の2時頃まで、と 10時頃から23時頃まで降雪。気温が徐々に上昇。飛行機定期便欠航
3/10曇り-22気温がまた下がり寒い。雲が一日中かかる。
3/11地吹雪-61時頃から、8時頃まで降雪。その後弱い降雪と地吹雪。気温がぐんぐん上がる。観測最終日だが、雲が出ているので夕食前まで観測。その後撤収作業、梱包など深夜まで。

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